2007年9月7日金曜日

人事も経理も総務も中国へ

9月3日放送のNHKスペシャル「人事も経理も中国へ」には考えさせられた。私はサラリーマン時代は製造業にいたので、生産現場が中国へ移転する話はいやというほど見せられた。そして多くの生産現場が下請工場とともに日本から消えた。この放送は人事、経理、そして今までは決して外国に出すことは無理だといわれた総務までもが出ていっているという現実がテーマだった。

放送ではカタログ販売で有名なニッセンの総務部を舞台として、総務仕事の一部を大連の会社へ移す過程を導入の計画段階から実施までをカメラが追った。担当役員からこの命題を突きつけられて拒否反応を示していた課員が、尻を叩かれながら、いやいやながらも仕事をマニュアル化し、OA化することで中国移転を可能にしていく様子が映し出される。実際の話なのにドラマのように切実感があった。中国側の受け入れ体制も想像を超えている。日本語を訓練された大学卒の優秀なスタッフを多数揃えていて、今や現実に日本の企業の2,500社が事務仕事を移しているという。企業にとってコストダウンは避けて通れない。中国の人件費は日本の5分の1、企業がそこへ目をつけないわけがない。そして知恵のある一つの会社が何かの手段を成功させると、右にならえで一斉に真似をするのも日本企業の特徴だ。

この放送を見ながら、少々複雑な気持になった。生産現場も、人事も経理も総務も中国に移してしまったら、会社の実態は一体どうなるのだろう。私達の孫の世代が成長した頃には勤める職場が果たしてどのくらいあるのだろうか?これからはグローバル化の時代だから、発想を変えて学生の頃から留学して、仕事の舞台は世界中になる時代がくるのかもしれない。

とはいっても国内の職場の絶対数が少なくなれば、今以上の格差が開く恐れはないのだろうか?農業政策もそうだが、必要なものは国が舵取りをしなければ、将来の日本はどうなってしまうのだろう?

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