2007年11月25日日曜日

人の皮膚から万能細胞

「大人の皮膚から万能細胞」というニュースは大変なニュースらしい。私は門外漢なので、その重大さは一度聞いただけでは理解できなかったが、21日の大新聞すべてが一面に大きく取り上げたことや、その後の報道で改めてその重大さを知った。嫌なニュースが多い中で、久々に明るいニュースだ。

この研究は世界中で行われており、京都大学の山中教授らが始めて成功したということのようだ。京大と殆ど同時にアメリカのウィスコンシン大学も違う作り方で成功し、別な科学誌で発表したということだ。アメリカ政府も支援を表明したというニュース(こちら)も伝えられた。他にも同様な成功を収めている研究機関もあり、現在発表直前で検証中だというところもあるという。京都大学が一番乗りをしたというところに意味があるようだ。

その内容は私のような素人には細かい点は分からないが、今まで研究されていたES細胞が受精卵から作るため生命倫理の立場から反発が大きかったのに対して、今回のiPS細胞と呼ばれる万能細胞は人の皮膚に四種の遺伝子を組み込んで作るということで宗教的な問題もない。本人の皮膚なので拒絶反応もなくて、実用化もしやすく画期的だという。

うまくいけば、本人の皮膚からどんな臓器も作れるので、移植用の臓器に困らなくなる。移植用の臓器は慢性的に不足しているので、臓器移植の医療には大きな希望となる。

次の課題として、iPSを使って生まれたマウスの約2割でガンが見つかっており、実用化に当たっての解決すべき課題のようだが、既にガン化を防ぐ研究にも取り組み始めているという。遺伝子導入に使うウィルスがガン化を誘導するのが分かっており、別タイプへの置き換えが必要。これが実現できれば大きな進歩になるという。

iPS細胞の再生医療での臨床応用を山中教授は数年以内とみているようだが、医療科学への貢献の期待はとてつもなく大きいようだ。科学技術の実用化にはいくつもの壁が付き物だが、順調に進めばノーベル賞候補といわれるこの技術、順調に発展してもらいたいものだ。

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