2008年4月28日月曜日

電子カルテの普及

27日、日経新聞の記事に「電子カルテ普及は遠く」という記事が載っていて、興味深く読んだ。

そこには「電子カルテをめぐっては、2001年厚生労働省が2006年度には診療所と、400床以上の大規模病院での普及率を6割という数値目標を掲げたと記されている」。それに対して実際は2005年10月時点で400床以上の病院で21.1%、診療所で7.6%だそうだ。その後普及のピッチは上がっているとはいえ、目標には程遠いようだ。

電子カルテの良いところは、事務処理の効率化と患者へのサービス向上につながること、良いことは分かっているが、導入時の費用が300床程度の病院で5~8億円もかかる。医師不足や看護師不足など、診療以前の問題を数多き抱えて、やりたくてもできないという病院が多いようだ。

私の通うがんセンターは平成14年開業と新しいので、最初から完全に電子カルテになっていた。通常の大病院では受付で自分のカルテをもらって、受診科の受付へ持参するが、電子カルテの病院だとそのような基本的な手続きから違うし、レントゲンでも採血でも画像や測定データはコンピュータに保管されるので、受診科の医師がモニターを開けば瞬時に見ることができる。

その他、電子化によるメリットはたくさんあることを実感する。患者サービスの点では在来の病院と比較して、革命的に変化することは間違いない。

ただ、物事には表があれば裏もある。贅沢かもしれないがいくつか欠点を感じることがある。

膨大な費用がかかるのはもちろんだが、医師は患者の顔を見て話すのは冒頭の一時だけで、あとはモニターへ入力との格闘となる。だから、年配で入力ができない先生はこの病院では仕事ができない。どの科の医師も若い先生ばかりだ。医学はマニュアル化され、「医は仁術」の精神からは益々離れていくように感じる。

「医は以て人を活かす心なり。故に医は仁術という。疾ありて療を求めるは、唯に、焚溺水火に求めず。医は当に仁慈の術に当たるべし。須く髪をひらき冠を取りても行きて、これを救うべきなり」

うーん。良いことか悪いことか、時代は変わっていく。

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