2008年8月30日土曜日

予期せぬ緊急入院

しばらくブログの更新ができなかった。いつも訪問される方は「どうしたのだろう?」という疑いをもたれる方もおられるだろうし、オリンピックに夢中になってその後も怠け癖が付いてブログ更新は2の次になっているのだろうと考えられて方もおられるであろう。それにしても8月14日以来だから、ほぼ半月間・・・実は更新したくてもできない状況におかれていた。

8月20日(水)タルセバを飲み初めて5錠目、いつもの検診のために病院へ足を運んだ。

いつもの通り、採血、レントゲン撮影を終えて、主治医の先生の部屋へ入った。どうも先生の雰囲気がただごとではない。

それもそのはず、血液検査の肝臓の数値が異常値を示している。GPT(正常値5~40)が1,025、かつて経験のないびっくりの数値である。その他の肝臓関連の数値もそれほどではないもののそれぞれ異常に高い。

その場で緊急入院を厳命された。入院準備のために家に戻ることも許されなかった。一通りの入院手続きをした後、診察室に戻ると車椅子が用意されていた。「自分で歩けます」といっても許してもらえない。自分はそのまま病室へ、たまたまその日は同行していた家内が家に帰り、入院準備をして再度病院へ戻ってくれた。

これといった自覚症状はあまりない。言われてみれば、多少食欲がない、何となくだるい・・・夏は例年そんな感じなので、気にも留めていなかった。

心当たりとしては、タルセバの副作用・・・1ヶ月ほど前GPTが300ぐらいまで上がったが、正常値に戻ったので安心していたが、再度飲み始めて異常に反応したのだろう。それに加えてガンとは無関係だったのでこのブログには書かなかったが、10日ほど前、39度の熱が出て夜間急遽がんセンターを訪れて診察を受けたことがあった。急性の「前立腺炎」という診断で解熱剤、抗菌剤、尿の出をよくする薬を渡されて一日3回(タルセバと並行して)服用していた。抗菌剤は抗生物質なので、(これは自分の想像だが)あるいはその影響もあったのかも?

とにかく、絶対安静の状態。疑いは薬物性肝障害、最悪の場合で劇症肝炎。数値だけは異常値だが、幸いにその前にもその後にも、疑いの病気の症状(だるさ、黄疸等)は現れない。

服用中の薬はすべて中断して、とにかく安静にすることを指示された。病室のドアから外に出ることは禁止。でも体調はよく、病気らしい症状はない。元気そのものなので歩きたくて仕方がない(これは入院初日から現在まで同じである)。入院翌日、手続きの書類を出すために同じフロアにある事務へ行こうとドアを出たところで偶然看護師さんと鉢合わせ。「○○さん、部屋から出ては駄目ですよ」と「書類は私が出しておきます」と取り上げられて部屋へ押し戻された。レントゲンとか診察とか5階の病室から2階へ移動する時も必ず車椅子が用意され、付き添いが付いた。

朝から夜までオリンピック放送があったので、幸い寝ていても退屈はしない。その代わりテレビカードがどんどん減っていく。

治療は「強力ネオミノファーゲンシー」という肝臓疾患の薬を毎日40CC注射する。通常この病気は食事が摂れない(らしい)ので、栄養剤の点滴をする。初日のみこの点滴をしたが、私の場合は食事が普通に摂れたのでこの点滴は初日のみで終った。

初日のレントゲンやエコー(劇症肝炎になると意識がなくなり、肝臓が崩れることがあるらしい)などの検査でも特に異常は見つからなかった。後はひたすら安静にして定期的に採血して数値の変化を見た。幸い、初日の1,025という異常値は採血する度に下がり、入院から9日目の28日にはGPTも236まで下がり、その日注射から錠剤(ウルソ50)に変わった。最悪の劇症肝炎には至らずに済んだ。

そして、この頃から絶対安静から同じフロアなら歩いても良いという許可がおりた。横浜に住む娘が見舞い兼手伝いに来てくれたので、家からノートパソコンを運んでもらい、ようやく半月ぶりに病室でブログを見ることができた。ホームページの方は家のデスクトップパソコンにしか入っていないので、退院しないと更新できないが、ブログだけは病室で更新できるようになった。

今回の肝臓疾患はタルセバの副作用だろうが、この重症化が誰にでも起きるかというとそこまでは考える必要はないようだ。劇症肝炎に至ると、間質性肺炎にも匹敵する命にかかわる重度な副作用となる。イレッサにもタルセバにも肝臓の数値を上げる副作用はあるが、一般的にはそれほど重度な副作用とはならない。ただ注意しなくてはならないことはどの薬剤にも薬剤性肝障害を起す可能性はあり(その人の体調や、いくつかの要因が重なった時)、最悪の場合は劇症肝炎に至る危険性があるようだ。タルセバやイレッサを服用されている方はこのことを頭の片隅に置いておいた方が良いと思う。

定期健診は通常2週間に一度なのだが、今回の検診は担当の医師が夏休みをとる関係で、たまたま予定の日より1週間早めた。もし肝臓の数値が上がっていることを知らずに同じ薬をさらに1週間続けていたら最悪の事態に至っていた恐れがあった。命拾いをしたと後で冷や汗をかいた。この偶然は神様か仏様のご褒美かもしれない(といってもあまりご褒美をもらえる心当たりはないのだが)。

抗がん剤の方はタルセバを中断したままなので、体調が回復した後はどうするのかという問題は残る。患者本人も心配の種だが、医師もその選択肢に悩むことであろう。一難去って、また一難である。

今後の予定・・・9月1日(月)の採血結果で退院予定を決める。

2008年8月14日木曜日

タルセバ再開

昨日13日(水)は呼吸器内科の検診日だった。

連日の猛暑と、オリンピック中継見たさに外出が憂鬱になる。おまけに昨日は高校野球で地元が出場した。エースピッチャーのケガで苦戦が予想された。病院の待合室で地元が1回で既に5-0で負けているという会話が耳に入り、見なくて良かったか?と思いながら家に戻ったら、11点取って逆転勝ちしていた。面白そうなゲームだったようで、損をした気分だった。

ところで検診の方だが、前回と前々回、肝臓の数値が高かったので、タルセバを休薬している。今回の検診は血液検査で肝臓の数値を確認することだった。

昨日の血液検査の結果、肝臓の数値は許容値より若干高いものの、原因が取り除かれたと思われる範囲まで下がったので、タルセバを明日より再開するということになった。

但し、前回はタルセバの容量が150mgだったが、今回は100mgと若干容量を落として副作用の具合をみる。

タルセバには150、100、25㎎の3種ある。組み合わせで(例えば75、125㎎等)いろいろな服用量の微調整ができるようになっているようだ。

「150から100に変更した患者さんの副作用は軽くなっていますか?」という私の問いに対して担当医師の答は「皮膚疾患は軽くなる方が多いようだ。ただ爪だけは変わらないように思う」というもの。

当然副作用の出方は患者のひとりひとりで異なることは心得ているが、医師の言葉を自分のケースに照らし合わせて想像を働かせる。皮膚疾患が軽くなりそうな点には少し安心したが、指の痛さを想像すると憂鬱な感じも残る。

ということで、本日の10時、1ヶ月ぶりに再開のタルセバの1錠目を服用した。

2008年8月10日日曜日

北京五輪開幕

しばらく悩まされた指の痛めは、タルセバの休薬で先週あたりにようやく消えた。
痛みのためにこのブログもしばらくお休みしてしまった。

ブログも先週あたりに復活したかったが、怠け癖がついたせいかなかなか書けなくなった。

そうこうするうちに北京五輪が始まってしまった。実況中継は朝から夜まで絶え間なくあるので、またまたブログの更新が滞りそうだ。

それにしても、8日の開会式はすごかった。その金のかけ方と人海戦術、訓練は相当なものだったのだろうと想像できる。北朝鮮のマスゲームと通じるものを感じた。

ショーとしてはすばらしいものだったが、あまりの「国威発揚」色の強さに少々辟易とする感じはする。オリンピックもワールドカップも過去国威発揚として使われた例は少なくないが、ここ何回か(バルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ)成熟度の高い国での比較的質素な開会式が続いたので、今回は特に強くそれを感じる。

元々オリンピックはスポーツ大会、運動会の延長ぐらいでちょうど良いと思う。従って開会式は夜よりもスポーツの祭典らしく、青空の下の方が気持はよい。

そして選手も応援もあまり肩に力が入り過ぎない方が結果はよくなることが多そうだ。日本も昔よりはずいぶん成熟した考え方にはなったが、まだまだ国を背負った考え方が結構強く残っている。

それにしてもマスコミの事前の期待過多の報道は何とかならないものか。選手を硬くさせる効果しかない。終わった後の勝利者に対しては多少過剰でもよいが、敗者の報道は温かみを持って控えめにしてもらいたいものだ。

これからはしばらくは、1スポーツファンとして高レベルのガチンコ勝負のスリルをたっぷり楽しみたい。

2008年8月6日水曜日

内科検診 休薬さらに1週間延長

前回肝臓の数値が高かったので、服用していた薬を1週間休薬した。従って今日の検診の目的は血液検査をして、肝臓の数値を確認することだった。

今回の血液検査の結果
GOT 48(10~40)、GTP 119(5~40) ()内は許容値。

この数値は前回に比べると、およそ3分の1に下がった。ただ、許容範囲に比べるとまだ高い。
原因ははっきりしない。可能性としてはタルセバの残留成分による、皮膚関連の薬剤による・・・等々が考えられるが、この1週間で数値が下がったということは服用していた薬によるものであることは間違いないようだ。両方やめているので、どちらかの薬が原因かは分からない。皮膚関連(アレルギー予防)の薬は以前から度々服用しているし、副作用として肝臓の数値が上がる事例は少ないということから、多分タルセバだろうとは思う。

今日の数値ではタルセバ再開をするには不安があるので、さらにもう1週間休薬を延長して(~8/13・合計4週間)、1週間後に肝臓数値が下がったらタルセバの容量を落として(150→100㎎副作用を軽減)再度服用を再開しようということになった。

がん治療はしばらく間があくが、私の本音としてはこの暑い期間はタルセバはできるだけ先へ延ばしたい。この暑くて汗をかく時期には皮膚疾患は結構つらいからである。

がん細胞にも夏休みを取ってもらって、しばらくおとなしくしていてもらいたいものだ。

冷房のきいた部屋で北京オリンピックを楽しんでいるうちにはやがて涼しい時期になるだろう。そして秋に向けて覚悟を決めて闘いを再開しようと思う。